このまま、このまま

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このまま、このまま

オイラは何時もアンナと登下校をしているが、今日はアンナの体調が悪いため休む事になった。 最近、一人は不安だ。 何故なら…… 「…今日もか」 ハオには言っていないがあの一件以来、苛めはエスカレートしていた。 集団リンチから隠れながらの苛め方。オイラは別に構わない。アンナやハオ、それに執行部の助けてくれた奴等がいる。 でも今日はアンナがいない。隠された上履きを捜すのも一苦労だ。 正直、どうしてオイラがこんな目に合わなきゃ…って思う時がある。でもそれ以上に彼奴等と一緒に居たいから、こんぐらいどうって事無いんだ。 「おはよう、葉。何か捜し物かい?」 「…っ!!お、おはよう、ハオ!別に何もないんよ!」 「…そう。早く上履き履いて教室行かないと」 「お、おう!オイラちょっと用事があるんよ。ハオは先行っててくれ!」 「わかった。早くしなね」 「ああ…」 辛い。でもハオがオイラに対しての苛めを聞いたら、彼奴は自分を責め続ける。 ハオは悪くない。悪くないんよ…。 涙が溢れてきて、急いでトイレに駆け込んだ。 ハオが悪くないのは分かってる。彼奴等と一緒に居たいのも嘘じゃねえ。 でも、苛めというものは予想以上に辛かった。 だがそれ以上に、辛い事に嘘をついて彼奴等と居る事が一番辛い。 「……ひっく…っ」 声を抑えて泣いた。 家や学校じゃ泣ける訳が無い。それにオイラはアンナしか頼る奴がいねえ。 そのアンナもいない今、精神的にも辛かった。 ─ばしゃっ 「…っ!!!」 「ねえ、そこにいるんでしょ?出て来なよ。朝、ハオ様と何話してたの?」 いきなり上から水が降ってきた。 またか。そう思いながら只黙ってバケツから落とされる水を浴びる。 我慢だ。負けちゃいけない。 .
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