すれ違い

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放課後、誰もいない教室。 僕は葉に告げた。 「明日の朝、この町を出る」 「何…言ってるんよ…」 「そのままの意味だよ」 「…何でそんな急に!!」 涙を流して訴えかけて来る葉と、僕は目を合わせることが出来なかった。 「お前、側にいて良いって言ってくれたじゃねえか!」 「葉、葉聞いて…」 「嫌だ!絶対反対だ!しかも明日だなんて…そ、そんなの急過ぎる!!」 「葉…」 でもね、葉。 確かに君の隣にいる僕は、今までよりうんと素直になれたよ。 けれどそんな僕は君を傷付けてばかりいる。耐えられないんだ。 (だから自分から切り離す。 大切な葉を守るため。) 僕は語りかける様に優しく話した。本当の事を。 言い切った直後、不意に涙が頬を伝った。 最後まで格好悪いな、本当。 けれど涙のお陰だろうか、この日やっと曖昧な感情がはっきりした。 僕は葉が好きなんだ。 .
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