屋上の上は青

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あの子、麻倉 葉は僕と同じクラスの子。 授業中はずっと居眠りしているし、名字が一緒だから出席番号も近く印象深かった。 まず自称が「オイラ」という時点で可笑しいんだけど。 今日は鍵を閉め忘れたから入れたのだろう。 次からは気を付けないと…1人になれないからね。 ─カツカツっ 「で、次の行…」 嗚呼、僕もさぼりたかったな。古文は必ず睡魔に襲われる。 それにこれだけは何故か一度読むだけで意味が理解できる。知らない言葉があっても。 でもそれはテストに対しては何の問題も無いし、寧ろ勉強する必要が無いから楽なんだけど…授業中は眠くて仕様がないι 窓の外を眺めていると、校門の近くに帰ろうとするあの子を見つけた。 「HRには来いって言ったのに…」 つい心の声が出てしまった。 静かな教室にチョークの音だけが流れていた空気は途端に変わり、皆の視線が僕に集まる。 僕が対応に困っていると丁度終わりのチャイムが鳴った。 助かった… 安心していたら紙屑が後ろから飛んできた。 後ろを振り向くと蓮がつんとした態度で紙を開けとジェスチャーした。 彼らしいと言えば彼らしいんだけど…授業も終わったんだし口で言えば良いのにι 言われた通り紙を開いて見てみると「授業中に独り言とは貴様らしくも無い…いったい何があったのだ?」と書かれてあった。 口で言わないのは彼なりの照れ隠しとでも言っておこうか… 蓮は小学校低学年からの幼なじみで僕の理解者でもある。つんつんしてるけれど何かと心配してくれているのだ。 僕は蓮の席に行って事情を話した。 「ほう…最近昼休みは見掛けないと思ったら屋上にいたのか」 「ああ。少しあの子が気になるんだよね。何時も一緒の恐山さんは休みだし…。早退して後を追うから先生に言っておいてくれ」 「ふん…貴様が女1人に騒ぐとは珍しいな。用事があるとだけでも言っておく」 「僕だって驚いてるよ。じゃあ、宜しく」 まだ担任は来ていないから都合が良い。 僕は走って学校を出た。 .
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