暴れん坊はキライですか?

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  ―五月― 緑が一段と濃くなり、通り抜ける風も暖かくなった5月のよく晴れた昼休み、この爽やかな天気を満喫すべく、綾は弁当を持って外に飛び出した。 「うーん、良い天気だねぇ、こんな日は昼寝でもしたいねぇ」 今食べ終わったばかりの弁当箱をしまうと、小さな身体をグーッと伸ばし、そのまま芝の上に転がった。 「綾、食べて直ぐに寝たら牛になるよ」 一緒に昼食をとってもいた上坂 緑は長くて癖のない黒髪をかき上げながら、続けて呟く。 「まぁ、綾の場合は乳牛って言うより暴れ牛だろうけどね」 さらりと酷いことを言いながら頭をグシャグシャと撫でているが、それに抵抗するでもなく黙って綾は緑の手の感覚を楽しんでいた。 高校生になって一ヶ月、大部学校生活にも慣れた。と同時に、見掛けに騙されてちやほやしてきた男子の姿も消え失せ、綾の回りはようやく静かになった。 確かに黙っていれば、そこらのアイドルよりは遥かに可愛い。白い肌、柔らかそうな肩までの栗色の髪、大きくて黒目がちの瞳、プクッリと赤くて小さな唇、細くて頼りなさそうな身体、守ってあげたくなるなるような148㎝という小さな身長。どれをとっても男子の大好物な要素満載なのだ。
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