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売店でお目当てのチョコドーナツと、これまたチョコがたっぷり掛かったパンを手に入れた綾はご機嫌で裏庭目指し歩き出した。
「今日はついてる。大好物が二つとも残ってるなんて、盆と正月がいっぺんに来たみたいだねぇ。(まるちゃん風に)」
鼻歌なんて歌いながら角を曲がった瞬間
「ッぶ!?」
何かにぶつかり、小さな身体は後ろに転がった。
「わ〰っっ、ゴメン!俺、もしかして君にぶつかった!?前見て歩いてたんだけど気がつかなかった。立てる?」
声の主は何が起こったのか解らず呆然とし、転がったままでいる綾をひょいと持ち上げ、立たせた。
未だに何がどうなったのか理解出来ずにいる綾に、腰を屈め、顔を覗き込んで
「大丈夫?怪我ない?」
心配そうに問い掛ける。
綾はその声でハッと我に帰った。
「パン!!わたしのチョコドーナツとチョコたっぷりパン!!無事!?」
慌て回りを捜すと、そこには無惨にも潰れてしまったパンの姿が…。
「なっ!?なんてこったい…」
ショックの余りその場に崩れ堕ちてしまった。
「あの…、本当にゴメンね。痛いとこない?保健室いく?」
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