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階段を下り、ダイニングに入ると、
「あら、裕君。おはよう」
母・千尋(チヒロ)が笑いながら息子を迎える。
「うん。おはよう、母さん」
「今日も遅かったわね。さ、早くご飯食べなさい。遅れるわよ」
「うっ…分かってるよ」
裕輝は母の言われるがままに椅子に腰を掛ける。
テーブルにはごはん、味噌汁などの和食がズラリと並べられ、向こう側には、
「おはよう、親父」
「…ああ、おはよう」
裕輝の父・信秀(ノブヒデ)が新聞を開き、目を細めている。
「……………」
「……………」
……う~、気まずい…。
朝で一番この時間が辛いんだよな…。
親父、あまり喋る方じゃないのは分かってるけど…。
心の中で沈黙と格闘しながら、裕輝は紅鮭をほぐす。
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