日本一の男

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 まぶしい太陽。  太陽がサングラスに映る。  寝ているそのサングラスの男。  ヤツオ ブットイ。 『ブットイ!  おい!ブットイ!!』  酒井ジムのオーナー、酒井淳蔵の怒鳴り声に、ムクリと半身起きるブットイ。 『うるせえな。おっちゃん、そう何度も呼ばなくたって聞こえてるぜ』  けだるそうに応えるブットイ。  ここはビルの屋上。貧乏ジムの練習場だ。 『何がうるせえだ!ゴロゴロしてねぇで練習したらどうだ!』  弱小プロレスジムの酒井ジムには、練習生は2人しかいない。  エースはブットイ、あまり厳しく言って、出て行かれては困るが……。 『へへっ。  こんな天気のいい日は昼寝に限るぜ。おっちゃん、あんたもやってみなよ。気持ちいいぜ~』  またゴロリと横になるブットイ。  プロレスデビューして半年。  まだ下位での試合とはいえ、破竹の勢いで連勝街道をひた走り、最近少し天狗になっている。  バシッバシッ  実は先程より、淳蔵を挟んでブットイの反対側で、一心不乱にサンドバッグを蹴る男。  もう一人の練習生セニョール三浦であった。  身体の線は細いが、真剣な眼差しでサンドバッグを蹴る蹴る。  セニョールは、まだデビューしていない。恐れ知らずの若者だ。
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