第Ⅰ譚 ―二人の始まり―

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  騎士学校はアーツ達の住む町『ハルティア』から離れた所に位置する。 よって、一旦付近の入学生を集めてから“ある手段”を用いて学校に向かうらしい。   そして、ここはその集合場所。 「おーい、全員揃ったか~?」   A4サイズの羊皮紙を持った年増の――いや、若い眼鏡を掛けた女性が呼び掛ける。 すると、学校の制服を着た生徒が女性に耳打ちした。腕には『補佐』と書かれた腕章が巻かれている。 「その……ハルティアの二人がまだ……」 「噂の騎士団長のご子息様二人か……ったく……」   眼鏡の女性はため息混じりに頭を掻いた。 と、そこへ。 「すいません! 遅れました!」 噂をすればなんとやら。 制服を着た茶髪と黒髪の二人組が走ってきた。 「あいつらか……」   教師であろう女性は二人組の声がした方向を睨み付け、ピシッとした動作で眼鏡の端を持ち上げた。 ――ゾクッ。 「なぁレイス。俺の第六感が『絶対に行くな』って言ってるんだが……」   至極真面目な表情でアーツは言った。
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