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呆れてものも言えなくなった女教師にアーツが解放され、しばしの喧騒。
少し距離を置いた木陰に、先ほどの騒ぎの根源である二人について話す二人組の姿があった。
「ねぇ……あんた、あの二人だったらどっち?」
赤い髪を肩まで伸ばした女学生が横にいる女性の肩に手を置く。
すると、金髪をポニーテールに纏めた女性が、少し面倒そうに応えた。
「どっちって、何がですか?」
「だからぁ……アンタ、あの二人のどっちがカッコいいと思う?」
「またそういう話しですか……」
やれやれと息をつく金髪の女学生。
「ねぇどっち~?」
「しつこいですね……、私はどっちも別に良いとは……あ、でも」
「なになに~?」
その何か思ったような仕草に、赤髪の女生徒は猫のよう口元を緩めて絡みつく。
すれ違う男子生徒の目が彼女の余計に強調された胸元にいってしまうのは、やはり性というものだろうか。
そんな様子を冷ややかな目線で見ていた金髪の女生徒はフンと鼻息を吐き、向こうで話している二人組の男子を横目で見やった。
「あの黒髪のほうは多分嫌いです」
「えー、何でぇ~?」
「あのふざけた空気は多分合いません」
「そう?コ、可愛いと思うけどなぁ~」
「まったく、どうして《リア》はいつもいつもそういう話ばっかなんでしょうか……」
金髪女生徒の呆れ声など無視し、《リア》と呼ばれた女生徒はうっとりねっとりとした目でアーツを捉えている。
そして一度「ほぅ」と息をつき、やれやれと肩を竦めた。
「ま、《ルル》みたいなお子ちゃまには分からない話よねぇ……? 体型もお子ちゃまだし」
「なっ……胸は関係ないじゃないですか! あんな無駄な脂肪!」
「あらぁ? 私は背の事を言ったわけで、胸の事なんて言ってないわよぉ?」
「んがっ………殴りますよ!?」
「はいはい、ごめんなさいねぇ~」
――――……。
「へくしっ!」
「ん、風邪かい?」
「いや……恐らく、どっかの誰かが俺の噂を……」
「そんなお約束な……」
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