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あの雨の日から十五年。
二人の少年は共に成長し、今や本当の兄弟のように過ごしていた。
そしてある朝。
「すー……すー…………」
「……ろそ……た……がいい…………いか?」
「すー……すー……」
「――おい! いい加減に起きなよ!」
「…………んぁ?」
「朝だよ。おはよう」
「……おう」
黒髪黒眼の男が、ダルそうに目をショボショボさせながら起き上がった。
そして「ふわぁっ」と大きな欠伸をしていると、階下から呆れ顔の義兄弟が顔を覗かせる。
「まったく、やっと起きたか」
「んだよ……まだ寝てられる時間じゃねーか……」
時計を見るや、再び布団に潜り込もうとする青年。
しかし、それをもう一人の青年が阻止する。
「はぁ……、忘れたのか? 今日から僕も君も、騎士学校だ」
呆れたように――いや、呆れて溜息をついた茶髪碧眼の青年。
布団に潜った青年とは対照的で、顔立ちも凛としている。
外は既に太陽が昇っていて、そろそろ仕事を始めようかという時間帯だ。
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