第Ⅰ譚 ―二人の始まり―

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「ん……あぁ、そういやそうだったな。 で、おりこうさんな《レイス君》はもう行きますってか?」 眠そうに目を擦りながらも皮肉を言う黒髪の青年。茶髪の青年は《レイス》と呼ばれているらしい。 「まったく……待つのを知ってて言ってるだろ。 父さんはもう行ってしまったよ。『アーツによろしく』だってさ。しばらく会えないんだから、顔くらい合わせておけば良いものを……」 「ハッハッハー、どーせ親不孝な息子ですよ~っと」   《アーツ》と呼ばれた黒髪の青年は口元に笑みを浮かべ、よっこらせと立ち上がる。 「……くだらないこと言ってる暇があるなら早く準備してくれないか? 入学早々遅刻するのはゴメンだよ」 そう言い残すと、レイスは一階の玄関に降りて行った。 「へいへーい。りょーかいりょーかい」
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