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「あんだぁ?」
さも不機嫌だとでも言いたげに、男の方へと振り返り、品定めするかのように視線を下から上へとずらしていく。
白髪混じりの茶髪に、温和そうな表情。
細縁の眼鏡をかけ、シャオリーよりも男性にしては小柄。
黒の燕尾服を纏っており、どこか“バーナーズ・カフェ”の雰囲気から浮いていた。
「私、フィーナールド家の執事をしております、カルドと申します。あの……依頼を受けてくださるのですか?」
その言葉に、シャオリーは睨みをとく。
そして申し訳なさそうに口を開いた。
「あー……まあ……。やりたいのは山々なんだが、面接とやらは?」
カルドと名乗った執事は、“ああ”と納得したように、静かに微笑む。
その様子にシャオリーとノワールは首を傾げる。
「面接はただ私の独断と偏見で決めるための口実ですよ」
「そ、そりゃー……なんとも……」
何事もなかったかのように微笑むカルドに不安が過ぎるが、それでも、ここまでウマい話はない。
「ま、面接免除ならオレは受ける」
《僕も賛成っ》
シャオリーに聞こえる程度の小さな声で同意し、二つ返事で了承した。
* * *
「でもなんでオレらでよかったんだあ?」
カルドの運転する車内で、ふと思った疑問を口にする。
今は三人だけの空間のため、ノワールはただ黙っている。
「ああ、それは、貴方がお嬢様と歳が変わらないからですよ。変にがたいの良い方ですと、お嬢様が怯えてしまいますから」
「……そんなもんか?」
「ええ、そんなものですよ」
笑顔のカルドに、シャオリーはまだ納得がいっていない様子であったが、「ふーん」と小さく呟いた。
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