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* * *
「──すげぇ……」
《右に同じ……》
二人は車を降り、フィーナールド邸を見上げる。
先ほどくぐってきた門もかなり立派なものであったが、やはりその中の方が凄まじかった。
シンメトリーの庭の中央には白を基調とした噴水があり、両サイドにはテラスが一つずつ。
綺麗に刈られた草木はやはりシンメトリーであり、花が庭を美しく彩っている。
そして目の前にそびえるフィーナールド邸は壮観。
先ほどまで見ていたレンガ調の家々とは格が違うとでも言うのだろうか、やはりシンメトリーであり、一見の価値はあるほど立派である。
やはり白が基調とされており、まるで王族の住む城のよう。
「ここでこれなら、“王国リカルディア”の王城はもっとすげーのかー……」
《僕、“リカルディア”行ったことないし……》
「はは……俺もねえ……」
車を置きに行ったカルドが目に入ると、ノワールは黙ってシャオリーの横へ座る。
それでも視線は上に向けたままである。
「さ、遅くなってしまいました。ここがフィーナールド邸です」
ガチャリと開かれる扉。
シャオリーとノワールもカルドに続けて中へと入る。
すると、その正面には一人の少女が仁王立ちしていた。
「遅い!」
美しい金髪はクセなのか、くるくるとしており、シャオリーらを睨みつける瞳は翠。
高価なドレスに身を包み、その細い腕は組まれている。
「すみません、お嬢様。依頼しました護衛の方をお連れしました」
カルドに紹介され、シャオリーも小さく会釈をする。
ノワールは豪邸内の装飾品に目移りさせていた。
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