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「へぇ、貴方が私の護衛ね……わたしはシュナルア。シュナルア・フィーナールド。現フィーナールド家当主よ」
長いドレスの裾を広げ、首を横に傾げて挨拶をする。
なんとも貴族らしい雰囲気に、シャオリーは気恥ずかしさからか、自分の頭をガリガリと掻いた。
「オレはシャオリー・レイアス。よろしく頼むぞ? お嬢様」
「シャオリー? なんか女の子みたいな名前ね?」
「それ禁句。一応気にしてんだから」
小さくため息をつき、面倒くさそうに視線を逸らす。
十代後半と、年頃のシャオリーにとってやはり気になることらしい。
「で? オレは“なに”からお嬢様を守ればいいんだ?」
「それは……」
「ただの俗物よ」
言いよどむカルドに対し、シュナルアははっきりと告げた。
ふとシャオリーが視線をカルドへと向ければ、やはり変わらない笑みを浮かべている。
「ただの?」
「そう。本ッ当にただの俗物。家の財産目当てのチンケなこそ泥よ」
ふう、と息をつくシュナルアに、シャオリーはふと、辺りを見回す。
そして首を傾げ、またシュナルアへと視線を戻した。
「だから護衛を依頼したの」
「? ならなんで三日間なんだ?」
顎に手を当て、何か考え込んでいるシャオリーは、思いついた疑問を口にする。
シャオリーの後ろに立っていたカルドが手帳をパラパラと捲り、とある一ページで指を止めた。
「それは三日後にあるパーティーまでで良いからですよ」
「パーティーだあ?」
素っ頓狂な声を上げ、目の前に立つシュナルアをまじまじと見つめる。
狙われている者がパーティーを開くなど、正気の沙汰とは思えなかったからである。
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