Epsode+1 旅の仲間

4/63
前へ
/86ページ
次へ
「おーい、バカ猫。置いてくぞー」 《ちょ! 待つにゃ!》 ノワールもベッドから飛び降り、ドアの前に立つシャオリーの元へと向かった。   * * * 《で、なに悩んでんのさ?》 ノワールは、目の前でしゃがみ込み、先ほどここまで乗ってきた全体真っ黒のバイクを見つめ、うんうんと唸っているシャオリーへ、半ば呆れの混じった声で訊ねる。 ここは二人の泊まる宿屋の裏手であり、そこにシャオリーのバイクが置かれていた。 当の本人であるシャオリーは、顎に手を当て、じーっとバイクを見つめている。 《おい、シャオ! なに悩んでんのか聞いてんだけど!》 「何って……“黒騎”に乗るか乗らないか」 ピシッ……と効果音が聞こえそうな勢いで固まるノワール。 その様子を不思議そうにシャオリーが見つめる。 「ノワ……?」 《乗ーるーなーッ! さっき聞いたろ? 歩いて10分の距離だぞ? 己はバカか!》 背を丸め、毛を逆立てて、シャオリーへと怒鳴るが、シャオリーはまだ何か言いたげにノワールを見つめた。 《なにさ?》 「10分も歩くのダルい」 さも面倒くさそうに言うシャオリーに我慢の限界が来たのか、そのブーツへと爪を立てる。 《バカが! 10分だぞ? 乗ってどうする、乗って! さあ歩く! きびきび歩く!》 ノワールにせっつかれ、その表情に不満は見て取れるが、ため息を一つ、渋々ながら歩き始めた。  
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加