Epsode+1 旅の仲間

6/63
前へ
/86ページ
次へ
「あ゛ー……なんかねえかなー……」 ふらふらと依頼書の貼られている壁へ向かい、ぼんやりと見つめる。 ふと、その中で一枚の、まだ真新しい依頼書が目に止まる。 その依頼は“護衛”。 ランクは下から三番目のC級。 期間は本日から三日間であり、報酬は五百万ルク。 C級にしてはかなりの高額であり、三日間で五百万も稼ぐことができるのだ。 シャオリーはその依頼書を剥がし、床から見上げているノワールの目の前へとかざした。 《わーお、魅力的。だけどここに“面接有り”って書いてあるよ》 タンタンと、前足で依頼書の一部分を差す。 ムッと眉を寄せるシャオリーに気づかず、ノワールは言葉を続ける。 《うーわあ、フィーナールド邸のお嬢様の護衛だよ? フィーナールドって、“ヴェスタバ”一のお金持ちじゃん! こりゃシャオじゃ落ちるね》 「ああ゛? どーいう意味だあ、バカ猫ぉ?」 シャオリーはしゃがんだ状態で、両耳を左右に強く引く。 《いた! いたいって!》 「訂正しろ」 シャオリーが手を離せば、ノワールは前足で両耳をさすっている。 《ああ……面接以前の問題か……》 「ノワァールゥ……?」 片方のヒゲを持ち、顔が変形するほど引けば、ノワールは言葉にできない叫びを上げた。 「あの……」 そんなとき、シャオリーの後ろから声をかけられた。 振り返れば、そこには小綺麗な格好をした40代後半の男性が、どこか申しわけなさそうに立っていた。  
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加