*転

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ふとあの子が僕の方に目をやり、蕾に気付いたようだった。 (あら?) 少しビックリしたような顔をして、僕に近付く。 そして… 蕾にそっと顔を寄せる… 瞳を閉じて。 …… …僕はと言うと、 あまりの緊張と嬉しさで、一瞬意識が飛んでしまっていた。 これほど近くであの子を見たのは初めてだった。 今僕に腕があったら。 今僕に手のひらがあったら。 あの子を抱き寄せて離したりしない。 僕もそっと意識を閉じて、あの子を抱きしめている幻想を頭に想い描いた。
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