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やがて季節は移ろい窓からやってくる風は冷たいものに変わった。
細い糸みたいにぴりぴりとする風。
でも僕は、そんな季節も嫌じゃなかった。
少し寒そうに外を眺めるあの子は、とても綺麗だ。
(アンタよく寒くないわね)
という感じで、あの子が僕を見つめる。
大きな瞳で真っ直ぐに見つめられると、ココロがざわざわして全身のトゲが飛んでいってしまいそうだった。
きみを温められる手のひらがあったら。
きみを引き寄せられる手のひらがあったら。
どうして僕には、危険なトゲしかないんだ。
なんて…
サボテンだから…当たり前なのに…
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