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ある国の、ある城に、紙姫という姫がいました。
その名の通り姫は紙の中で生きている、不思議な姫でした。姫は有名な画家に描かれ、命を得て、そしてこの城の姫君として飾られてきました。もちろん絵ですから、そこから動くことはできません。
姫は美しい細工の施された額縁に入れられて、長い間そこにいました。それでも姫は、あらゆる者と会話をすることができたので、長い間そこにいても淋しいときはありませんでした。
そうして姫がそこに飾られるようになってから、もう数えることさえ忘れてしまったある日のことでした。
一匹のねずみが、姫の前にあらわれたのです。
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