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「なんて美しい人だろう」
彼は、姫の絵を見上げてため息をつきました。まだ彼はこの城に来て三日程しかたっていなく、紙姫のことを知りません。それが偶然この部屋に訪れ、姫を目にしたのです。
「初めまして、ねずみさん」
とつぜん聞こえた声に、彼は驚いてあたりを見回しました。けれどだれもいません。するともういちど、
「初めまして、ねずみさん。こっちよ、あなたの目の前」
そう聞こえたのです。彼は自分の耳をうたがいました。なにせ絵が話かけてきたのです。そんなことは彼の生きてきた中で、初めての経験でした。
「あなた、いつここへ?ずうっとこの城にいなかったでしょう」
「ええ、つい三日程前に」
彼は何度もまばたきをしながら、姫のしつもんにこたえました。
「私は紙姫、あなたは?」
「私はエデンと申します」
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