紙姫とねずみ

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それからというもの、エデンは毎日姫の元を訪れました。 いろいろな国を回ってきたエデンは、あちこちの話を聞かせ、姫は喜んで聞き入ったのです。 そんな日々がすぎてゆく中、エデンは姫に恋をし始めました。姫もそんなエデンに好意をもち、それが恋へと形を変えるのに、多くの日にちを必要としませんでした。 「紙姫、あなたがそこから抜け出すことはないのだろうか」 エデンは毎日姫に問いかけました。すると姫はきまって表情を暗くし、いつも同じ言葉をくり返すのです。 「私は紙姫です」 ああ、なんて哀れな二人でしょう。こんなに深く愛し合っても、二人は決して結ばれることはないのですから。 姫は絵の中から出ることはできません。エデンはただの流れのねずみです。身分も違えば、住む世界も違うのです。 姫は夜が訪れると、窓から見える月に問いました。 「なぜ私たちは出会ってしまったのでしょう。お互いを知らずにいれば、このような気持ちにならなかったのに」 姫は生まれて初めて自分の存在を呪いました。それでも二人は、会うことをやめません。愛し合う二人は、会わずにはいられなかったのです。
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