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「ただいま~。ケーキ買ってきたよ」
「おかえりなさい、夏樹…疲れてるのに、ありがとね」
「そんなん、気にしなくていいよ。バイトも早くあがらせてもらったし…それより、ケーキ、気にならない?」
「そ~だよ~。も~ごちそう用意して待ってたんだから~。おなかペコペコぉ~。早くケーキ、みせてっ」
居間の方から、妹の光恵の声が聞こえる。中1の彼女にとって、ケーキは、アニキよりも大切な存在なのだ。
妹は、ケーキを奪い取ると、さっそく箱を開けた。
「わぁ~!これ、アタシが食べたかったヤツぅ~!お兄ちゃん、がんばったねぇ~。よしよし」
頭をなでようとする妹の手を振りほどいて、
「コラッ、アニキをなんだと思ってるんだよ」
「ホラ、ふたりともよしなさい。ケーキ、落とすわよ。さぁ、早く座って、食べましょ」
ボクは、自分の部屋に戻って、部屋着に着替えると、キッチンへ向かい、妹と食事の用意を手伝った。
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