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「今日は、楽しかったね、母さん」
「…」
「母さん?」
「ん?あ…ごめん。なに?」
「だから、楽しかったねって」
「あ…そうね…楽しかったね」
「母さん…浮かない顔しているけど、なんかあった?」
「うん…あのね、夏樹…いや…やっぱり…なんでもない」
「なんだよ、その言い方…よけい気になるじゃんか」
「こんな時にいうことじゃないんだけど…なかなか夏樹とも話す機会がないから…あのね…光恵のことなんだけど」
「うん…」
「じつはね、先週の月曜日、光恵…学校、休んだの」
「体調が悪かった、とかじゃなくて?」
「光恵がね、学校に行く時間になっても“頭、ズキズキするから行かない”って…」
「本当に頭痛がしたんじゃないの?」
母親は、首を振った。
「ほら、もともとあの子、体、弱くて、学校も休みがちじゃない?だから、わかるのよ、母さん。あの日は、ツライっていうよりも悲しい顔してた…学校で、何かあったんじゃ…」
「気にしすぎだよ」
「…だと、いいんだけど…もし、このまま学校に行かなくなったら…」
「だから、気にしすぎ。…まぁ、オレもちょっと気には留めてみるよ。じゃあ、オレも寝るよ。おやすみ」
「ごめんね。こんなときに…おやすみ」
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