シアワセな、ひととき。

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冬休みの間、ボクは、相変わらず、ラーメン屋のバイトに明け暮れていた。 強面のおやっさんは、見かけによらず、けっこう相談に乗ってくれる。 ボクが、少し悩んでいるような顔をしていると、お客さんのいなくなったヒマな時間を見つけては、ボクの話を聞いてくれる。 ボクは、妹がこないだ、学校を休んだとき、様子がおかしかったと、母親が言ってたことを相談してみた。 「そりゃ、ちょっと心配だな。何か学校であったのかも知れねぇな」 「何かって?」 「友だちとケンカしたとか、イジメにあってるとか」 「イジメって…アイツ、家の中じゃそんな素振り見せてませんよ」 「バカだな、お前は。そういうのが、一番、危ねぇんだよ。ただな、妹さん、中学生だろ?年頃だからな。余計な詮索はしねぇほうがいいかもな」 「わかりました。とりあえず、フツウに接してみます」 「ん。また気になる事があったら、何でも相談してくれな」 「ありがとうございます」
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