大団円

2/2
前へ
/46ページ
次へ
山田アキラは警官に連れられ、パトカーで警察関連の病院に行った。腕の傷を治療するためだ。 マナミとシュレディンガーと警部は、別のフォルクスワーゲンに乗り込み、帰宅の途についた。 車の中でもマナミはまだ、泣いていた。シュレディンガーはシルクハットをヒョイと上げ、あの水色のハンケチを取り出し、涙を拭った。 「ありがとう…先生…」 「勝手について行っちゃ駄目ニャ」 「うん…ごめんね…」 「そうにゃ…何があるか分からないニャ」 「先生…先生!…大好き!!!」 マナミがシュレディンガーに抱きつき、頬にキスをした。 「ニャ!!……ふにゅあ・・・」 シュレディンガーの顔は真っ赤に染まり、照れで、目は潤んだ。ヒゲはぴんと立った。 そして、シルクハットを目深に被って、眠ったフリをはじめた。灰色の猫の柔らかな毛並みにマナミが頬ずりすると、柑橘系のシャンプーの匂いがあたりに舞った。 おしまい
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加