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山田アキラは警官に連れられ、パトカーで警察関連の病院に行った。腕の傷を治療するためだ。
マナミとシュレディンガーと警部は、別のフォルクスワーゲンに乗り込み、帰宅の途についた。
車の中でもマナミはまだ、泣いていた。シュレディンガーはシルクハットをヒョイと上げ、あの水色のハンケチを取り出し、涙を拭った。
「ありがとう…先生…」
「勝手について行っちゃ駄目ニャ」
「うん…ごめんね…」
「そうにゃ…何があるか分からないニャ」
「先生…先生!…大好き!!!」
マナミがシュレディンガーに抱きつき、頬にキスをした。
「ニャ!!……ふにゅあ・・・」
シュレディンガーの顔は真っ赤に染まり、照れで、目は潤んだ。ヒゲはぴんと立った。
そして、シルクハットを目深に被って、眠ったフリをはじめた。灰色の猫の柔らかな毛並みにマナミが頬ずりすると、柑橘系のシャンプーの匂いがあたりに舞った。
おしまい
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