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「先生が無用心なんですよ。いつも鍵を掛けてないんだから。」
「私は猫だ。猫は自由を愛する。鍵などを掛けるのは人間のやることだよ」
猫は胸を張った。しかし胸を張ったと言っても、そもそも猫背なので大して胸は張れていない。
「屁理屈ですよ!」
マナミはベーっと舌を出した。
「そんな顔をしていては、レディの美しい顔が台無しだよ。クックック…さて…」
猫は自分の肉球をペロペロ舐めてから、それを頭の毛に付けヘアスタイルを整えた。
「今日は一体、なんの用件かな?マナミくん」
「うーん…実はね…じゃーん」
マナミの自分のカバンから、鈴の付いたリボンを取り出した。
「先生にプレゼントだよ!」
「…」
先生と呼ばれる猫の毛が一瞬逆立つ。
「な…なんだいそれは」
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