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山田アキラの手が止まる。探し物を掘り当てたようだ。
赤い土にまみれて、そこから出てきたのは…「銃」…古臭い、リボルバー式の銃だ。
「!!!」
マナミが息を呑んだ。かかとをゆっくりと引き摺り、手足を強張らせ、後ずさりした。
「どうして…?」
「綾子は…僕を愛していなかった。僕はあれほど愛していたのに。あの日、大学から帰ってくると、あの男が綾子に馬乗りになって、首を絞めていた。だから、アパートに入り、気づかれないように僕の部屋から銃を取り、殺そうとしたんだ。あの男を殺し、綾子を助けるために。綾子を自由にしてやりたかったんだ。あの男の呪縛から解き放ちたかった。僕たちの愛を邪魔するアノ男を殺すつもりだった。しかし、違った。あの男は綾子を殺そうとしているのではなかったんだ。」
「それは…どういう…」
「綾子は首を絞められながら、快楽の声を漏らしたんだ。それで分かった。何もかも…」
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