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マナミが死を覚悟して、ゆっくりと目を開ける。痛くない。しかし確かに銃声は聞こえた。まだ鼓膜がジンジンと痺れている。
「うぅ…」
目の前には、腕を押さえ、横たわる山田アキラがいた。
「え?…」
「大丈夫か、マナミくん」
声の主は、そう、シュレディンガー。
「せ!先生!」
マナミが安堵から、腰を抜かし、その場に座り込む。
シュレディンガーは猫用に作られた小型の銃をクルクルと回し、シルクハットをチョイと持ち上げた隙間に、ヒョイと放り込むと、マナミにぴょんぴょんと跳ねて、近づき、柔らかな肉球をやさしく、その頬に擦りつけ、
「もう大丈夫だよ、マナミくん」
とささやいた。
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