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「あのね。先生に似合うと思うんだ。コレ」
「え…うあ…にゅ~」
猫の顔に汗が滲んだ。
「昨日作ったんだ♪」
作ったといっても、鈴は母のかんざしから取れたもの。リボンは姉の宝箱から失敬したものであって、マナミが手を加えたのは鈴の止め具にリボンを通しただけ。作ったという表現は常識で言えば間違っている。
でもマナミは小学4年生。まだまだ子供なのだ。致し方ない。
「…じっとしててね」
マナミは猫を抱き、リボンを首に巻こうとした。
「フギャー」
猫は喚いて、マナミの細い腕からするりと抜けると、一目散に階段を駆け上がった。
「私は誇り高き、猫なのだよ。そのように、自由を縛り付けるものは好まないのにゃよ」
「バカー!!」
マナミはふてくされて、その場でバタバタと足を踏み鳴らした。
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