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…後付け?後付けってどういうことだ?というかお前が鼻歌交じりに引き出しから出したその尖った石は何だ?有り得ない色に光ってんぞ?
おいちょっと待て、何故それを持って近づいてくる?逆手に持ったナイフに見えるのは俺の気のせいなのか?
俺はかつてない身の危険を感じ後ろへ下がった…正確には下がろうとした。
「じっとしテて下さいネ~。怖くないでスよ~」
いつの間にか、さっきまで部屋に漂ってたシャドウが俺の背後にいた。しかもただいるだけじゃなく、俺の身体にまとわり付いていた。
上手く表現できねぇな…感触はねぇんだけど黒くて濃い霧みたいな変なもんが両手両足の周りに絡まってて全く動かせない。妙な猫なで声がソレから聞こえてんだからこれがシャドウなんだろうが…
ちょっと想像してみてくれ…何だかワケ分からん方法で全く抵抗できずに後ろからは気持ち悪い台詞が聞こえ、目の前にはあからさまな凶器を俺に刺そうとしてる狂人がいる状態を。
『くっそ…どけ!!シャドウ、てめぇだろうが!!久しぶりに出てきたくせに主人公捕まえていいと思ってんのか!?』
忘れてる人もいるかも知れねぇが…俺は不良だ。ガラは悪い。
「アナタ酷いですヨ!?魔族権の侵害デスよ?喜んでたのニ…」
顔はないが半泣きになったシャドウ。しかし全く自由にはならない。どうでもいいが魔族権って人権みたいなもんだろうか。
「うぅ…ッ、さ、さぁルシフェル様!!どうぞ殺…やっちゃって下サイ!!!」
てめぇ…あとで覚えてろよ。今は捨て台詞しか吐けんが。
「大丈夫だよハル君、痛くないからね…多分。きっと」
ルシフェルがにこりと笑って言った。
目の前のこいつが初めて魔王に見えて、そしてその石を俺の胸に刺した…そこで俺の意識は再び途切れた。
…よく気絶する日だ。
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