僕の手のひら

彼女の左手

「最後なんだからさ、手ぐらいつないでよ」

ふいに差し出された彼女の左手を、ためらうことなく自分の右手で包み込んでしまったのはなぜだろう。

夜が更けるに連れてざわめきを増す土曜日の繁華街。
行き交う雑踏の中で、僕らの影はほんの数秒つながって、どちらからともなく離れた。