てのひらの昨日 ゆびさきの明日

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「修平、最後にもう一回だけ、本気で言ってくれないかな」 彼女の欲しい言葉はひとつだけ。 後ろを振り返らずに、未来へ向かって進むためのホイッスル。 それを使えるのは僕しかいない。 「最後なんだからさ、ゆびきりぐらいしろよ」 僕が笑って差し出した小指に、彼女も笑顔で自分のそれを絡める。 さあ、始まりの合図だ。 「幸せになってください」 「修平も」 美央を乗せた列車が動き始める。 小さくなってゆくその姿を見届けてから、僕も向かいにやってきた逆方面行きの列車に乗り込んだ。
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