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「てことはあたしは魔法のほうね」
いや、そういうもんなのかな?
「魔女とかそういうやつなの?」
「へ?あたし?違うけど。普通の日本人。噛んだりもしないしにんにくも平気」
それは魔女でなくて吸血鬼のような気がする。
「ネットの世界ではいくつまでにアレがアレなら魔法使いになるってよく言われてるけど、ちょっと早いけどあたしもそうなんだわ!」
アレがアレ?なんだろう?気になるけどなんだか聞かないほうがいいような。
「やっぱし魔法使うには杖とかいるのかなぁ。宝石とか呪文とかもいるのかも。あー早く誰か来ないかなぁ。ちょっとー!すいませーん!」
って、そんな大声で!
「誰かきたらやばいって!」
「いろいろ聞かなきゃ。ほら、さっき助けてくれたエルフの人とかにさぁ」
エルフか、それもあったっけ。
アマゾンだかアフリカにもあんなのはいないだろう、たぶん。
ドラゴンには敵意というか、食い気は感じたが、エルフの人にはそういった気配は感じられなかった。
「助けてくれったってコトは、助けてくれるってコトだよね?」
僕は期待を込めてそう言った。
「言ってる意味はわかんないけど、まぁ、言いたいことはわかるわ」
彼女はようやく落ち着いてきたようで、行く手を阻む鉄格子をガシガシ揺さぶった。
「その質問は、コレがなければ簡単にハイって言えるんだけど、そんなの出たとこ勝負よ」
そう言って彼女がついに鉄格子をガンガン蹴り始めたとき、ろうそくの明かりが揺らめいた。
人の気配だ。
その人──彼女の言葉を借りるならエルフ──が暗闇から姿を現した。
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