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「いったいぜんたいどうなってるの?」
僕はは後頭部をさすりながら言った。
「それは崖から落ちる前のこと?後?」
「できれば両方聞きたい」
「それは無理ね」
彼女は肩をすくめた。
「前は完全に記憶がないもの。部屋でネットしながら寝てたのが最後の記憶」
「こっちも同じ。テレビ見て布団はいって寝て起きたらすっかりファンタジー」
そう、まさに状況はファンタジーとしか言いようがない。
「でも現実よ」
キリコはあぐらを組みなおして続けた。
「カズユキくんが気絶したちょっと後くらいにドラゴンが急降下して私たち二人を背に乗せたくらいであたしもいきなり気絶。きっとなんか魔法みたいなものね」
まぁ普通気絶はいきなりするもんだけど。
それにしても──。
「魔法って……いよいよファンタジーっぽいね」
「んで、気がついたらココで、あんたは寝てるし」
そう言って彼女はあたりを見渡した。
ひんやりとはしているが、寒いほどではない。ろうそくでは時間はわからないが、何時間も気絶していたようには感じないから、まだお昼だろう。
ただし、この世界に昼とか夜とかがあれば、の話だけど。
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