お使い

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   小屋の中に入ってきた山賊は三人。有利に戦えて、なおかつ動きに余裕を持つためにはこの人数が限界だろう。  相手も馬鹿ではないらしい。 「動かないで下さいね、お嬢様。守りづらくなりますから」  シェイドの言葉に、シャルロットは無言で頷く。彼は別に振り返りもしなかったが、返事は分かったらしい。 「死にやがれーっ!」  彼を囲んでいた三人のうちの一人、鍬を持った男が、己の得物を振り上げ、シェイドの脳天目掛けて叩き付けようとした。  しかし、シェイドは後方に一歩下がっただけでそれを躱し、床に突き刺さった鍬の柄に蹴りを叩き込む。  木製の柄と金属の刃の境界線は、彼の足が触れると同時に粉々に吹き飛んだ。 「なっ……」 「随分と貧相な武器をお使いになっているようだ。使い手の腕も知れますね」  何の武器も使わずに鍬を壊したシェイドに対し、山賊たちも恐れを抱いたようだ。  彼らの立ち位置は、先ほどまでよりも二歩ほど後ろになっていた。  その様子を見て、シェイドはクスクスと笑う。 「臆病な山賊さんには刺激が強すぎましたね。では、そろそろ私も攻めますよ」  指の骨をパキポキと鳴らすシェイドの姿が、山賊の前から消える。彼らが訳も分からず周囲を見渡した直後、その身体は床に崩れ落ちた。  いつの間にか三人の後ろにいたシェイドは、小屋の外に残る山賊たちへ視線を送る。 「次は、貴方たちでいいですか?」 「に、逃げろ! 敵わねえ!」  シェイドが言った通り、山賊たちは臆病者だった。一人残らず逃げ出した彼らを、黒い従者は嘲るように見つめている。  それから少し経って、彼は後ろを振り返った。 「お怪我はありませんね、お嬢様」  
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