お使い

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  「確かに怪我はないわ。だけど、出来たらもう少し派手に終わらせてくれない? ちょっと味気無いから」 「……さっきまで子猫みたいに震えていたくせに、よく言いますよ」  主に対する不満は、従者なら誰しも持つものだろう。それを消化する方法は人それぞれであるが、シェイドのやり方は異質である。  彼は、不満があったら『本人の目の前で』悪口を言うのだ。無論、簡単に聞き取れる程度の声量で。  狙いはシャルロットを怯ませる事にあり、その目的は見事に達成された。 「そ、それは、戸を開けていきなり山賊に出くわしたら、誰だってああなるわよ!」 「そうですか? 私はそうなれる自信がありません」  シャルロットをからかう事をやめ、シェイドは床に横たわる山賊たちを一人一人外へと放り出した。  まだ不満そうな彼女には目もくれずに、彼は三人目の山賊を背負う。 「ああ、お嬢様のせいで、予定より35分も日程を遅らせないといけなくなりました。今日の宿泊場所に辿り着けるかどうか。野宿になっても文句は言わないで下さいね」  小屋に並行する花壇に山賊を並べたシェイドは、両手をパンパンと叩いて中に戻ってくる。  白い手袋を摘み上げ、両手に装着した彼は、荷物の入ったバッグを片手で持ち上げた。 「ほら、もたもたしないで下さい。下手な時間になると、魔物に出くわしますから」  
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