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シェイドの言葉を受けた後、彼の前を歩くシャルロットは何も語らなくなった。
重苦しくのしかかる沈黙。しかし、その中でもシェイドは笑っている。
彼は、世間知らずのシャルロットに非情な現実を突き付け、失望させることに一種の悦びを感じるらしい。つまり、サディスティックだということだ。
「お嬢様、そろそろ日が暮れます。その速さで歩いていると、人里に着く頃には真っ暗ですよ」
「……そう」
ダークな雰囲気が、彼女を中心に広がっている。シェイドは特に気にしないが、他人が目にしたら、今にも自殺しそうな雰囲気、と受け取るかもしれない。
シャルロットはわがままで世間知らずではあるが、自身の過ちを認め、反省することは出来る。だからこそ、シェイドは彼女を厳しめに叱るのだ。
しかし、彼女は恐ろしく繊細である。怒られる事に慣れていないためだろうが、その落ち込みようは凄まじい。
そのため、シェイド以外の者は、なかなか彼女を叱れないのだ。
「ほら、レトの町が見えましたよ。早く入りましょう」
シェイドの言葉にも、シャルロットは全く反応しない。そんな事も慣れっこらしく、無反応な彼女の腕を引っ張り、シェイドは町へと歩いて行った。
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