お使い

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  「おっ、結構上玉じゃねえか」 「確かに。高く売れそうだな」  下卑た笑みを浮かべる七人の山賊。それぞれ剣や斧などの得物を手に持っており、非常に物騒だ。  シャルロットに『売り物』としての価値を見出だしたのか、そのうちの一人が手を伸ばす。  しかし彼女は後退り、素早くシェイドの影に隠れた。 「言った通りでしょう、お嬢様。勉強不足は身を滅ぼしますよ」 「どーでもいいから、あいつら何とかしてよ!」  山賊たちは、シャルロットを追って小屋の中に踏み込んでくる。シェイドの背中にしがみつく彼女は、極力彼らを見ないようにしていた。  黒の従者は、山賊を見つめて笑う。 「仰せのままに、お嬢様」  一歩踏み出したシェイドは、白い手袋を外してその場に投げ捨てる。ヒラヒラと舞う手袋が床に落ちる頃には、双方ともに戦闘準備は整っていた。  狭い小屋の中には、逃げ場など存在しない。しかし、シェイドの表情は余裕を映していた。  
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