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「お兄ちゃんいないみたい」
「そうか。いたら困るからな」
「どうして羽飛にいじわるするんだろう?」
「さぁな。きっと気に食わないんだろう」
よくわからないという顔をし、赤いカーペットの階段を上がっていく。
階段を上がり左右に別れる廊下を右に曲がり、一番奥の部屋のドアを開けた。
「わたし着替えてくるから待っててね」
「ああ」
ここはあかねの部屋だ。
おれの一番好きな場所で、心のオアシスだ。
あかねの匂いが部屋全体からして、気分が落ち着く。
部屋はおれが住んでるマンションの一室の二倍はあり、中央にはお姫様ベッドがある。
女の子らしくドレッサーがあり、ヘアピンやリップグロスや香水などが無造作に置いてある。
タンスもかなり大きいもので、一度だけ開けたところを見たことがあるが、かなりの数の洋服が収納されていた。
現代人にしては、というより屋敷に住んでいるのに部屋にテレビは置いてなく、広間と客室に一台ずつあるだけだ。
おれは壁際にあるソファに腰掛け、あかねが来るのを待った。
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