Chapitre.1 幸せなキミとの時間(とき)

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「お兄ちゃんいないみたい」 「そうか。いたら困るからな」 「どうして羽飛にいじわるするんだろう?」 「さぁな。きっと気に食わないんだろう」 よくわからないという顔をし、赤いカーペットの階段を上がっていく。 階段を上がり左右に別れる廊下を右に曲がり、一番奥の部屋のドアを開けた。 「わたし着替えてくるから待っててね」 「ああ」 ここはあかねの部屋だ。 おれの一番好きな場所で、心のオアシスだ。 あかねの匂いが部屋全体からして、気分が落ち着く。 部屋はおれが住んでるマンションの一室の二倍はあり、中央にはお姫様ベッドがある。 女の子らしくドレッサーがあり、ヘアピンやリップグロスや香水などが無造作に置いてある。 タンスもかなり大きいもので、一度だけ開けたところを見たことがあるが、かなりの数の洋服が収納されていた。 現代人にしては、というより屋敷に住んでいるのに部屋にテレビは置いてなく、広間と客室に一台ずつあるだけだ。 おれは壁際にあるソファに腰掛け、あかねが来るのを待った。
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