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俺は張 羽飛(チャン ユーフェイ)
香港で育ったけど、今は華崎市という街に住んでいる。
理由はこの国の文化を学びたいのと、もう一つ…。
「羽飛!」
重たい玄関の扉を開けこちらへ駆け寄ってくる、栗色の髪が美しい女の子。
彼女は桜島 茜(サクラジマ アカネ)。
俺の幼なじみだ。
そして彼女がもう一つの理由。
俺が召使いとして働いているこの屋敷のお嬢様だ。
だから屋敷にいるときはお嬢と呼んでいる。
でもお嬢はそれが気に入らないらしく、あかねと呼べといつもお願いされる。
俺は仕えることを仕事にしているのに、困ったお嬢様だ。
「おはよう、羽飛」
「おはようございます、お嬢」
「敬語ヤだって言った」
「で、でも敷地内ですし…」
「あかねって呼んでって言った」
ぷくぅーと頬を膨らませ、俺と視線を合わせようとしない彼女はすごくかわいらしくて。
「あ、あかね」
「えへへー」
さっきまで膨れてた頬を緩ませ、にっこりと笑う茜。
「あ、そろそろ行かないと遅れちゃう!」
「そうだな。行こう」
屋敷の門をくぐり、俺たちは学校へ向かう。
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