Chapitre.1 幸せなキミとの時間(とき)

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俺は張 羽飛(チャン ユーフェイ) 香港で育ったけど、今は華崎市という街に住んでいる。 理由はこの国の文化を学びたいのと、もう一つ…。 「羽飛!」 重たい玄関の扉を開けこちらへ駆け寄ってくる、栗色の髪が美しい女の子。 彼女は桜島 茜(サクラジマ アカネ)。 俺の幼なじみだ。 そして彼女がもう一つの理由。 俺が召使いとして働いているこの屋敷のお嬢様だ。 だから屋敷にいるときはお嬢と呼んでいる。 でもお嬢はそれが気に入らないらしく、あかねと呼べといつもお願いされる。 俺は仕えることを仕事にしているのに、困ったお嬢様だ。 「おはよう、羽飛」 「おはようございます、お嬢」 「敬語ヤだって言った」 「で、でも敷地内ですし…」 「あかねって呼んでって言った」 ぷくぅーと頬を膨らませ、俺と視線を合わせようとしない彼女はすごくかわいらしくて。 「あ、あかね」 「えへへー」 さっきまで膨れてた頬を緩ませ、にっこりと笑う茜。 「あ、そろそろ行かないと遅れちゃう!」 「そうだな。行こう」 屋敷の門をくぐり、俺たちは学校へ向かう。
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