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キーンコーンカーンコーン。
あかねが何か言いかけたとき、学校のチャイムが辺りに響いた。
突然のことでビクッとして、あかねの肩においた手を反射的にどけてしまう。
あかねも飛び上がっておどおどしている。
「だ、大丈夫か?」
「うー、び…びっくりしただけ」
後ろを向いて顔に手を当ててるあかねは、気のせいか顔が赤い気がする。
ぶぶんと栗色の髪を揺らしておれの方に向き直る。
「さっきの予鈴だよね?早く行かないと遅刻しちゃう!」
「ああ。走ろう!」
信号を渡り学校へ向かって走り出すおれたち。
学校まではそんなにかからない。きっと話に夢中になっていたせいで、時間がかかったのだろう。
おれより少し後ろを遅れて走るあかねは、走ってるせいなのか、それともさっきのせいなのか、まだ顔が赤い。
そういうおれも顔が熱い。走ってるせいじゃない。
あかねの言う言葉に期待してしまったから…。
(こんな気持ちになるのはまずいよね、父さん。いくら幼なじみだって、相手はお嬢様なんだから)
おれは走りながら自分にそう言い聞かせた。
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