Chapitre.1 幸せなキミとの時間(とき)

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キーンコーンカーンコーン。 あかねが何か言いかけたとき、学校のチャイムが辺りに響いた。 突然のことでビクッとして、あかねの肩においた手を反射的にどけてしまう。 あかねも飛び上がっておどおどしている。 「だ、大丈夫か?」 「うー、び…びっくりしただけ」 後ろを向いて顔に手を当ててるあかねは、気のせいか顔が赤い気がする。 ぶぶんと栗色の髪を揺らしておれの方に向き直る。 「さっきの予鈴だよね?早く行かないと遅刻しちゃう!」 「ああ。走ろう!」 信号を渡り学校へ向かって走り出すおれたち。 学校まではそんなにかからない。きっと話に夢中になっていたせいで、時間がかかったのだろう。 おれより少し後ろを遅れて走るあかねは、走ってるせいなのか、それともさっきのせいなのか、まだ顔が赤い。 そういうおれも顔が熱い。走ってるせいじゃない。 あかねの言う言葉に期待してしまったから…。 (こんな気持ちになるのはまずいよね、父さん。いくら幼なじみだって、相手はお嬢様なんだから) おれは走りながら自分にそう言い聞かせた。
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