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「………………」
「…………………誰?」
言われたお色気姫も、それを聞いていた少女も一瞬自分の耳を疑った。
今なんておっしゃいましたか…?
しかし、これが嘘ではないというように、王子は続ける。
「あのさあ、俺あんたみたいの全然タイプじゃないし、こういう風にされんの一番嫌いなんだよね、だからあんたとは結婚なんてあり得ないの。解った?」
そして、まだ放心状態で現実を受け入れられないでいるお色気姫に向かって、今度は笑顔で言った。
「ちなみに、今の事誰かにばらしたらどうなるかわかってるよね。君、国の大臣やら使用人までいろいろ手出してるんだって?それカメール国王が知ったら悲しむだろうね」
そういってダリア姫に向けられた王子の笑顔は、今までにみた事もない黒い笑顔だった。
やっと事の状況が飲み込めてきたのか、ダリア姫は顔を真っ赤にして、その場を走り去って行った。
ヤバい…何て世にも恐ろしいものを見てしまったんだろう…とりあえずこの場を早く見つかる前に逃げなくちゃ、と少女は王子に気づかれないように、そっとその場を後にした。
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