第一章

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 エストリアには、王子は二十歳の誕生日までには花嫁を決めて、結婚しなければならない、という習慣があって、今年マクシミリアンは二十歳を迎えるのである。 しかし、マクシミリアンにはいまだ婚約者はなく、各国の王族からは勿論、自国の貴族からも、ぜひ我が娘を、と縁談は止むことはなかったのだが、王子はこれまで全て断ってきていた。 そんな王子も、国の習慣には逆らえないであろうと、今年こそはと、姫君達は、自慢のドレスにこれでもかとおしゃれをして、今日の祝宴で王子とお近づきになるチャンスをうかがっているのである。
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