『孤高の狩人』

2/6
前へ
/121ページ
次へ
シュレイド王国王都の『街』と呼ばれる最もハンターが集まるという場のハンターズギルドにたった今狩りから戻って来たハンターがいた。 バサルモスの鎧を纏い、ガンランスを背負っている。兜を外して一息ついた。 彼の名はアイク。わりと名の知れたハンターなのだが、人と群れるのを嫌っているためいつも独りだった。 黒い髪を振乱し、前髪をかき上げた。 「………暑い。」 彼は外を見た。街は活気があり賑やかだが、彼は自分だけそこにいないように感じていた。     英雄は常に独りだ。   超越した力の為に他の人には苦しみを理解してもらえない。きっと黒龍を撃退した英雄『白闇の竜姫』も孤独だったのだろう。彼女にしか分からない苦しみがあって悩みがあって…世界の希望を背負わせられていたのだから。 オレはオレのために狩りをする。全てはハンターとして、より高みを目指す為…       アイクは次に行くクエストを選んでいた。 (リオレウス…流石は王者、強かった。とても疲れたし……ちょっと軽めのが良いな…) そして目に止まったのは『黒狼鳥(イャンガルルガ)』の討伐クエスト。 (ちょうどこいつの素材が欲しかったんだよ) アイクはクエストボードから依頼書を取ってカウンターへ行き、ギルド嬢に渡した。契約金を渡し、樹海行きの馬車を待つ事にした。   「次はリオレイアを狩りに行こうよ?」 「なんか欲しいのがあるのか?」 「うん。いつまでもハンター系防具もやだなぁって思ってて…レイアの防具にしたいって思ってるのよ!」 「じゃあティガレックス手伝えよ?オレもそろそろランポス防具脱ぎたい」 黄髪の青年と緑髪の少女が話している。 アイクはただ、それを聞いて思ったのは、 (…弱者が………) っであった。 (欲しい素材があるなら一人で行きゃいいだろが…)     仲間ーそれがなんなのか、彼はまだ知らなかった。   馬車が来た。それに乗り込み、彼は樹海へと向かった。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加