『孤高の狩人』

3/6
前へ
/121ページ
次へ
樹海ー最近新たに開拓された地で、未知のモンスターが多い。周りは樹々に覆われていて、奥にはとても巨大な木が生えている。まだあまり人が足を踏み入れていない為、モンスター達は生き生きとしている。 アイクも樹海に来るのは初めてだった。 「ここが樹海か…まずは探索でもするか……?」 アイクはまず、西に向かった。 鹿の様なモンスター・ケルビや蟹の様なモンスター・ヤオザミなどが見られた。とてものどかで、平和な印象を受けた。 「本当にこんな場所にイャンガルルガが出てくるのか?」 アイクはイャンガルルガ探しを始めたが、未だ見つけられないでいた。しばらく歩いてから彼はひとつの結論を出した。 (…もしかして……迷った?) ある意味で最悪の事態だった。このまま迷って時間切れになったら大恥だ。モンスターに遭わないままっていうのは笑えない冗談。 アイクは勿体ないと思いながらも、『千里眼薬』を取り出した。   千里眼薬とは、第六感を研ぎ澄ます効果を持つ薬である。それを使う事によって感覚でモンスターの居場所を察知出来る。それをアイクは飲み干した。     「ん…?こっちに来る………?」 無駄遣いした。アイクはものすごく後悔した。しかしもう過ぎたこと、嘆いてもどうしをもない。ガンランスを構えて戦闘体制に入った。         「ギャオォオォォ!!!」 現れた『黒狼鳥』。しかしその姿を見てアイクは戦闘体制を解いた。 「なにがあったんだ?」 『黒狼鳥』は既に瀕死だった。顔の半分は引き裂かれ、眼を抉られ、耳は剥れ、羽は破け甲殻は罅だらけ。 呆気にとられた瞬間、黒い影が飛んで来て、『黒狼鳥』にぶつかった。血が飛び散り断末魔を上げ、力無く倒れた。 黒い影は姿を隠した。近くにいるのを感じる。『黒狼鳥』に向けられていた殺気が、アイクに向けられた。 再び武器を取り、戦闘体制に入る。 次の瞬間、黒い影と二つの赤い光が襲ってきた。アイクは盾で攻撃を防いだ。しかし衝撃が強く、後ろに飛ばされた。 「ぐっ?!」 また黒い影は姿を隠した。 (なんだ…一体なんなんだよ!?) 正体が分からない敵にアイクは成す術が無かった。戦うにも姿が見えない。逃げるにせよ隙を見せれば殺られる。 再び黒い影と二つの赤い光がアイク目掛けて襲って来た。それとほぼ同時に頭に響く様な騒音が鳴り響いた。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加