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「ギャウッ?!」
その音に黒い影が怯んだ。黒い影の姿は猫科の生き物を連想させる様なしなやかな身体で口元は鳥の嘴の様で、二つの赤い光は眼で前足が翼の様になっている。
「こいつは…『迅竜(ナルガクルガ)』?!」
『迅竜』ー最近発見された飛竜で樹海に生息している。尻尾が武器として発達していて、刺を飛ばして攻撃するという。スピードはおそらく飛竜最速だ。
「今の音…音爆弾か?!」
ナルガクルガは後ろに跳んだ。そして着地しようとした瞬間ー
「ギャウッ?!!」
落とし穴に落ちた。アイクはそこに何故落とし穴があるのかとか考えたが、とりあえずチャンスだと判断し、討伐することにした。ガンランスを構えて引き金を引く。火炎が吹き出し、ナルガクルガは悲鳴をあげた。
アイクは斬撃を繰り出していると、樹々の奥から一人のハンターが出て来た。まるで漆黒の『龍』を思わせる鎧を纏い、真紅の太刀をナルガクルガに振う。そして乱舞。
「畳み掛けろ!!」
「あ…あぁ。」
アイクは自然とそのハンターの声に反応した。不思議と興奮を覚える。それはかつてアイクが味わった事の無い感覚だった。
(なんだ…ッ?!この感覚は…)
血が沸き立つ。身体が軋む。だがそれが心地よい。
斬撃。砲撃。爆撃。
様々な『生』の音が鳴り響く。夜がすぐそこまで来ていた。
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