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日は暮れ、とても静かな樹海。あるのは二つの死体と二人のハンター。
「はは…チームで狩るのがこんなに楽しいとは………」
アイクはナルガクルガの亡骸に凭れかかり、笑って言った。
「…そうだな………仲間と狩るというのも悪くは無い。」
『龍』の姿のハンターは焚き火にあたっている。兜を脱ぐ気はないようだ。
アイクは『龍』の姿のハンターにどんどん興味が出てきた。かつての彼ではありえない事だ。
「なんでアンタは樹海に?なんかのクエストの為…ナルガクルガの討伐に来てたのか?!」
「……あぁ。そんなところだ。」
「やっぱ?!ねぇ?名前教えてよ?今度ちゃんと一緒にクエスト行かないか?とりあえずギルドカード交換しよう!?」
アイクは自分のギルドカードを取り出して『龍』の姿のハンターに差し出した。しかしそれを受け取ってはくれなかった。
「私に名乗る名は無い。そしてギルドカードは持っていない。ギルドに属して無いからな…。」
「へ?」
ギルドに属して無いハンターはいわゆる『密輸』などを行う犯罪者なのだ。ハンター業をやる者は必ずギルドに属さなければならないと法律で決められている。
「…そろそろ私は失礼する。ギルドの連中に見つかったら厄介だからな。」
『龍』の姿のハンターは立ち上がる。そうすると闇の奥から物音が聞こえてきた。
大量の丸太と大きな板を顔付きの悪い奴等が持って来た。
「旦那!流石ですなぁ?一人であの『迅竜』を倒しちまうなんて…」
「さっさと運んじまおうぜ?」
「………そうだな……」
密輸集団はナルガクルガの死体を板に乗せて丸太で滑らせて運んで行く。とても手慣れた手付きだ。
「アイク……と言ったか?君はこれを見なかった。」
『龍』の姿のハンターはアイクを見ずに言った。
「この事を誰かに口外したら私は君を処分しなければならない。本当は今この場で処分しなければならないのだけれども。」
「なぁ…オレも連れてってくれないか?」
アイクは真剣に言った。
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