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日も暮れ、吹雪く雪山をケネとアリアは進む。ケネは平然と歩いているが、アリアは身を抱き、残像が残るくらい震えていた。
「さ…さむ…寒すぐる………」
「“すぐる”ってなんだよ…『ホットドリンク』飲んだのか?」
「忘れて来た」
『ホットドリンク』とは、身体を温めて、雪山で下着姿でも寒くなくなる効果がある飲み物である。雪山の必需品だ。
「馬鹿。ほれ。ひとつやる。」
ケネは鞄からホットドリンクを取り出してアリアに渡した。アリアはお礼を言って飲干した。
「うん。寒くなくなった!」
「そりゃ良かった。…しかしこんなとこに長時間いられないだろ?死んだんじゃね?」
ケネは周りを見渡し、人影を探しながら言った。確かに10m先が見えない程の吹雪きの中、10日以上はいられないだろう。ギルドマスターの話だと、そのハンターは1ヶ月戻らないらしい。
「死体でも持ち帰ってあげよう?こんな寒いところに永遠にいるのやだろうし…」
「言い出しはオレだけど…死亡前提かぁ……」
行方不明のハンターを探す二人。その背後に迫る影に彼等は気付かなかった。
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ポッケ村集会所に黒い訪問者が現れていた。『龍』をイメージして作られた黒い鎧を纏い、漆黒の双剣を背中に背負っている。
ギルドマスターはソイツをしっていた。
「あなた…『黒龍帝』ね……?あなたの様な凶悪な犯罪者がなんのようかしら?」
ギルドマスターは『黒龍帝』を睨み付け、言葉を続けた。
「今はハンターの捜索の為に『ギルドナイト』達が沢山このポッケ村に来てるわ。なのにこんな場所に来るなんて…自首しにでも来たのかしら?」
「…………忠告しに来た……」
「忠告?」
ギルドマスターの言葉に『黒龍帝』は椅子に腰掛け、テーブルに腕を置いて言った。
「…そうだ……雪山で『金獅子(ラージャン)』を見た………」
それを聞いてギルドマスターの表情が豹変した。恐怖と焦りで歪んでいる。
「何ですって?!!『金獅子』ですって?!!」
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