64人が本棚に入れています
本棚に追加
『金獅子』は極端に目撃者が少ない牙獣種である。目撃数が少ない理由は異常な攻撃性を持つ為、生還した者がほとんどいないためである。『黒龍帝』の話だと、それが雪山にいるというのだ。ハンターが行方不明になった理由。それなのかもしれない。
「忠告はした……では私は去る………」
「ちょッ………」
『黒龍帝』は吹雪く闇に消えて行った。
ギルドマスターは賑やかな集会所の中で一人力なく地べたに座り込んだ。
---------------
雪山を駆ける三つの影。うち二つはケネとアリア。必死に走り何かから逃げている様だ。残るひとつは金色に輝く毛の二本の角を生やした猿だった。
「ガァァァアア!!」「ギャァァア!!?」
ケネは鞄を漁りながら叫ぶ。
「なんでラージャンなんかいるんじゃい?!!」
アリアはビンを選びながら答える。
「知らないよぅ!!アタシが聞きたいよぅ?!!」
『金獅子』の口元に光が集まる。そしてその光を吐き出した。
迸る閃光。空間に歪が生じる。作られた風にアリアは飛ばされそうになる。ケネはアリアの手を取り走る。
「逃げ切るのは無理そうだ。戦うしか無さそうだ。」
「うぇ?本気?!」
「あぁ。」
ケネはアリアをまっすぐ見る。
「オレ達ならやれる。今までもそうだった。」
「ーッ」
吹き荒れる雪。轟く『金獅子』の咆哮。
アリアは笑みを浮かべた。
「そうだね…うん!そうだね!私達に敵は無いもん!!」
二人は逃げるのをやめ、武器を構えた。
最初のコメントを投稿しよう!