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セツナが、まだ名の知れぬ駆け出しのハンターだった頃、彼女は古びた小屋に住んでいた。自分を助けてくれたハンターに弟子入りしハンターとして生き技を教わった。後に師匠は命を落した。
まだ幼かったセツナは弟をたった一人で養った。危険なクエストにも果敢に挑み、多額の報酬を手にいれた。
そしてセツナは弟を学校に通わせた。自分は学校に通う事ができなかった為、多くの事を知らない。弟には色々学んで欲しかった。
「ギン!起きなさい!!遅刻するよ?」
「んあ?」
銀髪の少年・ギンは姉の声で目を覚ます。まだ眠いようで目をこする。
「あ…ねぇさんおはよ~」
「朝ご飯できてるからさっさと準備して食べなさい。そして学校行ってきなさい。」
エプロンを脱ぎながらセツナは言う。するとギンはむつけたように口を尖らせた。
「…ねぇさんが家にいる時ぐらい休んだっていいじゃん。狩りの話聞きたい。」
「3日ぐらい休みで家にいるから。明日明後日はあなたも休みでしょ?今日は行きなさい。」
「……わかった。」
渋々ベットから出て着替え始める。セツナはやれやれと部屋から出て行った。
シュレイド王国立レヴル学院。小中高・大学までエレベーター式の有名学校で、その生徒のほとんどが王族や貴族、とにかくお金持ちだ。
その為ギンはかなり浮いている存在だった。
「なんでこの学校に貧乏人がいるんだぁ?」
「貧乏人じゃねぇよ。だからいんだよ。」
つまりは苛めの対象になりやすかった。しかしギンは物事を気にしない性格なので、苛めに自分があっている事に気付いていなかった。
その日の昼休み、皆が超高級学食を食べに食堂に行っている中、教室で一人姉手作り弁当を食べるギンのもとに一人の少年がやってきた。
「…お前の姉貴ハンターだって本当か?」
蒼みかかった黒の短髪の少年で、目をきらきら光らせる。
「…そうだけど……なんで?」
今はご飯優先なギンは質問には答えるが少年を見ようとはしない。その様子もお構いなしに少年はギンに質問する。
「じゃあお前の姉貴の名前って『セツナ』だったりするか?!」
「そうだけど?何で知ってんの?」
ギンは流石し箸を止め、少年を見た。
「オレ、お前の姉貴のファン!なぁ今度会わせてよ!?」
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